Home > シネマ2012下半期
シネマ2012下半期 Archive
シネマ2012下半期
- 2008-10-25 (Sat)
- シネマ2012下半期

「 レ ・ ミゼラブル 」 ( 2012英 )
パンを盗ったよジャン ・ バルジャン。苦役ののち愛に目覚め、神を我が物
とする。黙っちゃいないぞジャヴェール警部。地獄の果てまで鬼ごっこ。
市民革命を背景に、人の善悪を見据えた同名ミュージカルの映画化です。
朗々たるバリトンの連続。やや耳疲れするも、子役カワユス! メロディを
簡素な字幕で 「 読む 」 もどかしさを越えて、必見の価値アリ。


「 007 スカイフォール 」 ( 2012英米 )
J ・ ボンド50周年記念作品。ワイがこのシリーズを嫌うのは、いかにも
イギリスロウワー階級の趣味嗜好をくすぐる演出があざといから。今回の
彼はひと味違うぞ。女上司とのヒリつくやり取り。光と闇が交差する、魔都
上海。若くも美しくも無い彼が、ひとつの乳房を求め争う双子の獣のよおに、
元同僚と生家で対決! スペースオペラ顔負けの脚本を、抑えた演技が中和。

「 人生の特等席 」 ( 2012米 )
慧眼スカウトも老いては駄馬か? 頑固で偏屈、妻を亡くし、娘とは疎遠。
後釜を狙う IT万能主義のライバルを前に、視力の衰えた彼を救ったのは
やはり・・・・。 イーストウッドのハマリ役とはいえ、こおまでキャラ設定が
毎度同じだと、いささか鼻白む。脚本も軽薄。 ” 寅さん ” はリチャード
・ ギアに任せて、次回は期待をあっと裏切る快作に登場してもらいたい。

「 砂漠でサーモン ・ フィッシング 」 ( 2011英 )
アラブの砂漠でフィッシング? 荒唐無稽なヨタ話が、国際政治の駆け引きで
国家プロジェクトになっちゃった! 共にパートナーを失った男と女が挑むのは
夢か愚考か道楽か? 男女円満の秘訣は、互いが互いを向いてるんじゃなく、
互いが同じ方を向いてることだって言うよね。ポケットのブ厚い友人もできたし、
迷うことないよキミタチ。ご都合的展開の上に肉付けが薄くて、感動できない。

「 カラスの親指 」 ( 2012 講談社他 )
騙したつもりが騙されて。コン ・ アーチストを主人公とした映画の常套やね。
阿部寛扮する詐欺師が、ひょんなことから行き会った4人の仲間と、かつて
自分をハメた連中をハメ返す・・・。満を持してのカビ臭いギャグ。演技力の
伴わない若手。収穫遅れの瓜のよおに伸び切った160分は、苦痛でした。

「 ドリームハウス 」 ( 2011米 )
有能な編集者ウィル。惜しまれつつ引退した彼は、家族のために郊外の
一軒家へ引越す。以前の住人は一家惨殺事件の被害者となり、犯人は
なんと彼自身であった! では、今眼の前にいる女や子供は誰なんだ?
空想と現実が入り乱れ、最後に彼を守ってくれたのは、長年慈しんだ
「 家 」 だった。愛せよ、愛せよ、さらば与えられん。人も物もないの。

「 綱引いちゃった! 」 ( 2012 「 綱引いちゃった! 」 製作委員会 )
昨今はやりの民間委託。廃止寸前の市給食センターのおばさん達が、安手の
市政PRをもくろむ市長の口約束を真に受けて、綱引き全国大会優勝を目指す!
イケメンコーチにモヤモヤ。倒れた仲間にハラハラ。豹変市長にガッカリ。でも、
結局、綱引いちゃった! で、結果は? オープンエンドね。ヒロインのアップで、
そこでラスト。あとは、あなたへの宿題。綱引いてよかった? 無駄だった?

「 ヱヴァンゲリヲン新劇場版 : Q 」 ( 2012カラー )
血色の床。純白のシーツ。 「 なぜネルフが敵? 」 「 綾波はどこ? 」
バカシンジに解らないのに、おじゃる丸大好き男が解る訳がない。どおやら
人類が一旦滅び、新生命体に生まれ変わるのが予定調和になってるらしい。
鬼はアスカ。観音はレイ。何かを愛さなくても生きていける現代の若者たちが、
エヴァで再生するのが腑に落ちる。「 巨神兵東京に現わる 」 を同時上映。

「 任侠ヘルパー 」 ( 2012フジテレビジョン他 )
「 老人相手のヤミ金ってとこですか? 」 行き場を失くした元ヤクザ。
田舎町の親分に拾われ、福祉とは名ばかりの養護施設で年金目当ての
あこぎなシノギ。老人を食いものにする組織と、弱者を見捨てておけない
彼は、しょせん相容れぬ仲だった・・・。 介護の現場を、排泄臭漂うほど
直視した脚本は立派。草彅君の鋭角的なスタイルは役にぴったりです。


「 悪の教典 」 ( 2012 「 悪の教典 」 製作委員会 )
寝る前にバイオハザードとかすると、心が寒くなって安眠できない。聖者と
サイコパス、2つの顔を持つ人気教師が、 「 まるで出席を取るみたいに 」
生徒を殺し続ける物語。一人暮らしが晩ごはんの後に観る映画じゃないなあ。
カメレオンのよおに偽装と捕食を繰り返す狂人を演じるには、 「 海猿 」 の
伊藤英明は好青年過ぎるし、条理の欠けた殺戮は、観るものを飽きさせる。

「 アルゴ 」 ( 2012米 )
驚天動地のホメイニ革命。リンチパーティと化したテヘランで、米大使館の
職員全員が人質に! かろうじて脱出した6人に追っ手が迫る。見つかれば
公開処刑必至の中、CIAは 「 アルゴ 」 なるSF映画の一大ロケを現地で
敢行? 実話の映画化だけにリアル感は硬質。されば、” 最高の最悪案 ” が
時として仕掛けるユーモアが、こらえ切れないほどおかしい。評判通りの


「 シルク ・ ドゥ ・ ソレイユ 彼方からの物語 」 ( 2012米 )
輝きは輝く。高いものは高い。そして天地が逆転する。世界的名声を誇る
パフォーマンス集団と、 J ・ キャメロン監督の3D映像が合体しちゃった!
一切の台詞を排し、肉体のみで語る男女。息を呑む映像美。とりわけ水の
シーンは、3D効果も相まって、まるで溺れそお。間違いなく、秋の大収穫。


「 リンカーン / 秘密の書 」 ( 2012米 )
人々は流された血よりも偉大なる勝利を記憶する。隠れた善行より高邁な
演説を賞賛する。これはなぜか若く美しくなった彼が、宿敵バンパイアと
生涯をかけた壮絶なバトルに挑むお話。実際の彼は、小学校中退、破産、
不幸な結婚、2度落選し、国民の半分から嫌われたブサイクなムッツリ君。
それがなぜイケメン? あ、お時間来ましたね。サイナラサイナラサイナラ。

「 のぼうの城 」 ( 2012 「 のぼうの城 」 フィルムパートナーズ他 )
「 戦いまするっ! 」 このひと言で全てが決した! 2万対500、彼は正気か?
日本を代表する俳優陣を揃え、壮大なスケールで描く戦国絵巻。家臣も領民も、
ただただ彼に善かれと戦場 ( いくさば ) に身を投じる。コミカルなギャグに
場内静まり返るは、野村満斎の確かな芸に酔った証。娯楽作品として及第点。

「 ツナグ 」 ( 2012 「 ツナグ 」 製作委員会 )
あなたは死者に会いますか? ただし一回こっきり。断られたら、それでお終い。
そりゃそおだ向こうもよみがえりは一回ぽっきり。会ってもらえるのって、とっても
名誉。そんでね、殺意もかすむ嫉妬を見たよ。死ぬより消えるのが、ずっと怖いよ。
死者は生者の玩具でしかないのなら、あなたはどお遊ぶ? 愛する? 忘れる?
渋谷系クールの若者が 「 オレ、ばあちゃんに会いたいよ 」 。 ツナガったね。

「 伏 鉄砲娘の捕物長 」 ( 2012 映画 「 伏 」 製作委員会 )
文盲無学の少女猟師が、兄を頼って花のお江戸へ。ただのお江戸じゃないよ。
極彩色の長屋が連なるハイパーお江戸! びいどろ、どぜうなべ、芝居小屋、
江戸の情緒がパノラマ展開。とどめはあの吉原だっ! おっといけない彼女の
役目は人狼狩り。首をはねるの。懸賞金なの。獲物をまさに撃つ刹那、彼女は
「 つながった 」 と感じる。最後は文字でつながった。千倍素敵だね。


「 終の信託 」 ( 2012フジテレビ、東宝、アルミタラピクチャーズ )
老醜の張り付いた独身女医と、末期の男性患者が、共に死の谷の蔭を歩む
医療ドラマ。医師はどこまで患者の人生にコミットできるのか。情を理で割る
ムツカシサ。周防監督の新味の無い凡庸な演出が、後半検察官が女医を
ビシバシ責める場面になると逆に効果的だから映画って面白い。 尊厳死?
リビング・ウィル? 最後の最後に手ェ握ってくれる人がおりゃ、それでエエの。

「 最終目的地 」 ( 2008米 )
頭の上がらぬ恋人に尻まで叩かれ、遠路南米まで伝記執筆にやって来た
トッポイ青年。そこには作家の自殺を機に、時が止まったよおに暮らす
謎めいた一家が。巨匠J ・ アイヴォリー監督の精緻な筆さばきは健在。
人生の ” 最終目的地” に到達するため、人は何を捨て、得なければ
ならないの? 蜂に刺されて死にかけたのに、結局養蜂業してるよゲラゲラ。


「 イラン式料理本 」 ( 2010イラン )
政治的題材はむろん、映画製作そのものさえ当局の監視下にあるイラン。
監督はキッチンにキャメラを固定し、妻や親族の調理と愚痴を記録したの。
「 手にキスをするのは嫌だから、バラの水をかけたわ。 」
「 缶詰を使ったって正直に言って、何が悪いの? 」
作るのに6時間、食事は一時。男達満足。妻は片付け。ラストは離婚でした。

「 ソハの地下水道 」 ( 2011ポーランド、独、カナダ )
下水道を知り尽くした男、ソハ。コイツ空き巣もするの。ユダヤ人をかくまえば
お金になるとふんだのね。だけどしょせん小悪党、セックスもする仲間割れも
するユダ公に同情しちゃった! さあ大変。神はいませり? ちゃんといるの。
戦後すぐ彼は事故で死んじゃった。 「 罰が当たった 」 と、ある人は言った。
” 人は神を使ってでも人を罰する ” 怖いセリフだね。これは悲しい実話です。

「 コッホ先生と僕らの革命 」 ( 2011独 )
規律と伝統の支配するドイツの名門校に、型破りな先生がやって来た。彼は
イギリス仕込みのサッカーを通してフェアプレイの精神と他者への敬意を伝え、
やがて生徒たちの絶対的な信頼を・・と書くと、急進思想がもたらす悲劇、人が
ともすれば陥る日和見主義を丁寧に描いた名作 「 いまを生きる 」 を彷彿と
させるが、作品の錬度は2段も3段も劣る。安易にハリウッドを真似るとこおなる。

「 天地明察 」 ( 2012 「 天地明察 」 製作委員会 )
囲碁棋士にして天文暦学者、渋川春海の夢は、真実を求むること。正しい
暦を作ること。しかし、それは暦を専制実行する朝廷の権威にたて突くもの
だった。一命を懸けた日食対決の帰趨は? 基本地味なテーマ。その上
主人公に真理追求の鋭角的な狂気が見えない。若手人気スターが
おひなさま然とガン首揃える中、宮崎あおいひとり北斗七星の貫禄。

「 最強のふたり 」 ( 2011仏 )
初老の白人と若い黒人。不安に見開かれた目。加速する高級車。ポリスだっ!
緊急停車。泡を吹く白人。パトカーに先導され、着いた病院で演技は終わり。
哄笑する二人に覆いかぶさる8ビート。ノッケからタマシイ持って行かれたっ!
事故で半身不随の大富豪が、ロウワークラスの若者を介護人に選ぶ。互いの
立場を越えた友情が生まれた時、ひとつの奇跡が。仏映画難解? ノンノン!


「 プロメテウス 」 ( 2012米 )
隔絶して発達したそれぞれの古代文明に共通の星図が。自らの起源を求め、
とある惑星に降り立った遠足気分の調査隊は1人また1人と・・・。時に難解
とも思える緻密なストーリー。息を呑む映像美。この金づち頭は? そおだよ。
リドリー ・ スコットは 「 エイリアン 」 の監督だったんだよ。大迫力に


「 あなたへ 」 ( 2012 「 あなたへ 」 製作委員会 )
夫婦のかたちはふたつでひとつ。片方が召されると、ひとりになるの?
違うよ。半身。魚の半身。妻を亡くした刑務官が、遺言に従い彼女の
ふるさと長崎へと一人向かうロードムービー。御年81歳の大スターが
さほど寡黙でもなく、下世話な主人公を好演。健さん定食、ややクドい。

「 おおかみこどもの雨と雪 」 ( 2012おおかみこどもの雨と雪製作委員会 )
「 サマーウォーズ 」 で、 ” 人の絆 ” をキレイにパッケージングした
細田守監督最新作。苦学生の花が心惹かれた男性は、” 狼男 ” だった!
彼が不慮の死を遂げた後、残された幼い姉弟と共に彼女は・・・。陳腐な脚本。
平板なキャラ。観ても観なくても世界は変わらない環境ビデオのよおな一品。

「 遊星からの物体X ファーストコンタクト 」 ( 2011米 )
SFホラーの金字塔 「 the Thing 」 の、これは前日談。同化能力を持った
” それ ” が、一人また一人と南極基地の隊員を吸収し、すり替わっていく。
誰が ” それ ” で、誰が違うの? SFXを多用し、密室心理劇と言うよりは
ややアクションが勝る。前作への忠実なオマージュと思えば十分に楽しめるぞ!

「 ヘルタースケルター 」 ( 2012ヘルタースケルター製作委員会 )
山出しの風俗嬢が違法全身整形したら、トップモデルになっちゃった!
でも賞味期限は短いのよね。放埓なセックス、若いライバルへの嫉妬、
手術の後遺症で崩れゆく肉体。現代版四谷怪談を沢尻エリカが怪演。
無駄に長いラストは、蜷川実花生身のエクスタシーと見れば評価できる。

「 BRAVE HEARTS 海猿 」 ( 2012東宝 )
大ヒットシリーズ第4弾。片翼のエンジンを失ったジャンボジェット機が、羽田沖に
強行着水! 浮いてる時間は20分。乗員乗客364名の運命は? 根拠の無い
希望を振り回し独断先行する救助隊員。謹厳実直、実は君たちの味方! なんて
ブレる隊長。新人隊員の恋人が機内に! なんてアリエナイ設定。私生活では
男の子全開な彼ら。母性本能をくすぐられたい女性は観るべし。ヌードもあるべ。
- Comments (Close): -
- TrackBack (Close): -
Home > シネマ2012下半期
- FC2カウンター
- アーカイブ
- QRコード
- Recent Comments
- Recent Trackback
-
- Search
- Meta
- Links
- Categories
- Archives
-
- 2023-12
- 2023-11
- 2023-10
- 2023-09
- 2023-08
- 2023-07
- 2023-06
- 2023-05
- 2023-04
- 2023-03
- 2023-02
- 2023-01
- 2022-12
- 2022-11
- 2022-10
- 2022-09
- 2022-08
- 2022-07
- 2022-06
- 2022-05
- 2022-04
- 2022-03
- 2022-02
- 2022-01
- 2021-12
- 2021-11
- 2021-10
- 2021-09
- 2021-08
- 2021-07
- 2021-06
- 2021-05
- 2021-04
- 2021-03
- 2021-02
- 2021-01
- 2020-12
- 2020-11
- 2020-10
- 2020-09
- 2020-08
- 2020-07
- 2020-06
- 2020-05
- 2020-04
- 2020-03
- 2020-02
- 2020-01
- 2019-12
- 2019-11
- 2019-10
- 2019-09
- 2019-08
- 2019-07
- 2019-06
- 2019-05
- 2019-04
- 2019-03
- 2019-02
- 2019-01
- 2018-12
- 2018-11
- 2018-10
- 2018-09
- 2018-08
- 2018-07
- 2018-06
- 2018-05
- 2018-04
- 2018-03
- 2018-02
- 2018-01
- 2017-12
- 2017-11
- 2017-10
- 2017-09
- 2017-08
- 2017-07
- 2017-06
- 2017-05
- 2017-04
- 2017-03
- 2017-02
- 2017-01
- 2016-12
- 2016-11
- 2016-10
- 2016-09
- 2016-08
- 2016-07
- 2016-06
- 2016-05
- 2016-04
- 2016-03
- 2016-02
- 2016-01
- 2015-12
- 2015-11
- 2015-10
- 2015-09
- 2015-08
- 2015-07
- 2015-06
- 2015-05
- 2015-04
- 2015-03
- 2015-02
- 2015-01
- 2014-12
- 2014-11
- 2014-10
- 2014-09
- 2014-08
- 2014-07
- 2014-06
- 2014-05
- 2014-04
- 2014-03
- 2014-02
- 2014-01
- 2013-12
- 2013-11
- 2013-10
- 2013-09
- 2013-08
- 2013-07
- 2013-06
- 2013-05
- 2013-04
- 2013-03
- 2013-02
- 2013-01
- 2012-12
- 2012-11
- 2012-10
- 2012-09
- 2012-08
- 2012-07
- 2012-06
- 2012-05
- 2012-04
- 2012-03
- 2012-02
- 2012-01
- 2011-12
- 2011-11
- 2011-10
- 2011-09
- 2011-08
- 2011-07
- 2011-06
- 2011-05
- 2011-04
- 2011-03
- 2011-02
- 2011-01
- 2010-12
- 2010-11
- 2010-10
- 2010-09
- 2010-08
- 2010-07
- 2010-06
- 2010-05
- 2010-04
- 2010-03
- 2010-02
- 2010-01
- 2009-12
- 2009-11
- 2009-10
- 2009-09
- 2009-08
- 2009-07
- 2009-06
- 2009-05
- 2009-04
- 2009-03
- 2009-02
- 2009-01
- 2008-12
- 2008-11
- 2008-10
- 2008-09
- Feeds