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2018年05月03日

「 死刑囚からの恋うた 」


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読了後しばらく動けないって本ある。いえ、体は動いて豆腐食ったり

してるんだけど、心が深夜の広場のよおに静まり返ってるんだ。

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20代半ばの女流俳人に届いた1通の手紙。死刑囚からだ。俳句年鑑に

載った彼女の3句への感慨がたどたどしく書かれ、その後10ヶ月に渡る

おびただしい往復書簡が刑の執行まで続いた。時には疎ましく汚らわしく

思いつつも彼女は彼を見捨てることがない。これは愛か? 憐憫か?

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とくさんがよく引用する


  死刑囚はみな弥陀( みだ )の子や日向( ひなた )ぼこ


は彼こと武田二郎さんの句である。彼は強盗殺人で極刑を宣告された。

避け得ぬ死を前に煩悶し慟哭し、句作にすがった。常軌を逸した畏敬と

崇拝がやがて愛に変わり彼は告白に至る。 「 友情以外ありえない 」

と書いた彼女の手紙は受取人不在で帰ってきた。処刑されてしまったのだ。

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彼女は山崎百合子。4年前に亡くなられたみたいで、ウィキっても無いから

名の知れた俳人ではないらしい。処刑から16年後二郎の老父を訪ね


  背に余る不幸を負うて炉に老いぬ


と詠んだ。42歳で死ぬとの天啓を得、身辺整理として訪れたのである。

彼女は書く。” 死刑囚だから安心していたのだ。力が注げたのだ ” 。

そこに美談はない。ただただ精一杯で、ただただ悲しいだけ。

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「 死刑囚からの恋うた 」 ( 草思社 ) は現在絶版です。

タイトル載せとくと検索で見て下さる方がいるかも。望外の喜びです。






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「 星の王子さま 」


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王子さまはうぬぼれバラとバオバブの駆除が嫌になった。で、旅に出る。

「 大切なものは目に見えない 」のセリフで有名なファンタジーだけど、

実は ” 大切なもの以外目に入らない ” という言語道断なパンク王子です。

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好き勝手に立ち寄り気の向くままにほざいたあげくやっぱりというか地球到達。

広漠たる砂漠に現われた哲学キツネは語る。


「 おれの目から見るとあんたはほかの十万もの男の子と別に変わりない

 男の子なのさ。だけどあんたがおれを飼いならすと、あんたはおれにとって

 この世でたったひとりのひとになるし、かけがえのないものになるんだよ 」


人間が好き! などと臆面もなく言い放つ嘘つきよりなんて覚醒してるんだ!

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すっかりキツネファンのとくさんは話の後半を支配する蛇が気に入らない。

キラッと光るその毒牙で蛇は彼を帰してやる。その訳知り顔が気に入らん。


 「 砂漠が美しいのはどこかに井戸をかくしているからだよ 」


世界が美しいのはなぜ? どこかに友達を隠しているからなんだ。

世界が美しくないのはなぜ? 人が争うからだよ。

王子さまがいないと蛇もキツネも簡単に日和るんだ。

だから王子さまは世の中に絶対必要だし、必要だから王子さまなんだ。





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