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「 死刑囚からの恋うた 」


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読了後しばらく動けないって本ある。いえ、体は動いて豆腐食ったり

してるんだけど、心が深夜の広場のよおに静まり返ってるんだ。

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20代半ばの女流俳人に届いた1通の手紙。死刑囚からだ。俳句年鑑に

載った彼女の3句への感慨がたどたどしく書かれ、その後10ヶ月に渡る

おびただしい往復書簡が刑の執行まで続いた。時には疎ましく汚らわしく

思いつつも彼女は彼を見捨てることがない。これは愛か? 憐憫か?

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とくさんがよく引用する


  死刑囚はみな弥陀( みだ )の子や日向( ひなた )ぼこ


は彼こと武田二郎さんの句である。彼は強盗殺人で極刑を宣告された。

避け得ぬ死を前に煩悶し慟哭し、句作にすがった。常軌を逸した畏敬と

崇拝がやがて愛に変わり彼は告白に至る。 「 友情以外ありえない 」

と書いた彼女の手紙は受取人不在で帰ってきた。処刑されてしまったのだ。

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彼女は山崎百合子。4年前に亡くなられたみたいで、ウィキっても無いから

名の知れた俳人ではないらしい。処刑から16年後二郎の老父を訪ね


  背に余る不幸を負うて炉に老いぬ


と詠んだ。42歳で死ぬとの天啓を得、身辺整理として訪れたのである。

彼女は書く。” 死刑囚だから安心していたのだ。力が注げたのだ ” 。

そこに美談はない。ただただ精一杯で、ただただ悲しいだけ。

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「 死刑囚からの恋うた 」 ( 草思社 ) は現在絶版です。

タイトル載せとくと検索で見て下さる方がいるかも。望外の喜びです。






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