- 2018-05-03
- 読書

王子さまはうぬぼれバラとバオバブの駆除が嫌になった。で、旅に出る。
「 大切なものは目に見えない 」のセリフで有名なファンタジーだけど、
実は ” 大切なもの以外目に入らない ” という言語道断なパンク王子です。

好き勝手に立ち寄り気の向くままにほざいたあげくやっぱりというか地球到達。
広漠たる砂漠に現われた哲学キツネは語る。
「 おれの目から見るとあんたはほかの十万もの男の子と別に変わりない
男の子なのさ。だけどあんたがおれを飼いならすと、あんたはおれにとって
この世でたったひとりのひとになるし、かけがえのないものになるんだよ 」
人間が好き! などと臆面もなく言い放つ嘘つきよりなんて覚醒してるんだ!

すっかりキツネファンのとくさんは話の後半を支配する蛇が気に入らない。
キラッと光るその毒牙で蛇は彼を帰してやる。その訳知り顔が気に入らん。
「 砂漠が美しいのはどこかに井戸をかくしているからだよ 」
世界が美しいのはなぜ? どこかに友達を隠しているからなんだ。
世界が美しくないのはなぜ? 人が争うからだよ。
王子さまがいないと蛇もキツネも簡単に日和るんだ。
だから王子さまは世の中に絶対必要だし、必要だから王子さまなんだ。
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