- 2018-05-06
- 読書

やんばるは沖縄本島北部の総称。僻地の小学校に赴任した
独身先生英作は、開放的あるいは粗野なジモティにびっくり!
「 一人暮らしでさびしいと思いません? 」
「 夜になっても相手もいなくてさ 」
「 おら、ついて行こうかしら 」 と、女たち。

「 酒仙なる語は霊妙不可思議な酒の功徳をたたえた、それこそ東洋的な
言葉なんだ。ところが同じシュセンでもゼニを守る守銭はいかんね。
俗世の悪徳という悪徳がことごとく集まる。だから守銭奴と言われる 」
同僚のじーちゃん教師隆太郎がウンチクを肴に酒の強要。

さてここで2人の女神が登場する。なにまた女神だって?
麗しい女性は皆女神なのだ文句あっか。ひとりは同僚の啓子先生。
若く賢く美しく、釣り糸を垂れる英作の周りで水着を見せつける大胆さ。
他方は彼の下宿先の娘マツ子。地味で控え目で、デラックスとか付かない。

啓子は彼にノートを託す。中には彼女の字で
「 理性が理性として通用しない時だってあるのだ。彼の怖れる猛獣の本能も
やがて眼をさまし、理性の鞭を跳ね返すであろう。私はそれを期待する 」
ラヴレターだっ! 一方泡盛の強要であえなく轟沈した英作はマツ子の介抱の元
小間物屋を広げる。朝になるとあーら不思議跡形ない。彼女が清めてくれたんだ。

優れた知性は現実にすばらしい光を与える。だが、つつましい献身。
それが心をとらえた。故郷今帰仁( なきじん )へ帰省した彼は母に伝える。
「 との結婚を許して下さい 」
なんか恵まれすぎだぞ英作!
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